先週、宮城県公立高校入試の志願倍率が発表されました。
中学3年生の生徒のみなさんは、本番まで2週間をきった中で、全力で最後の追い込みを行っています。
そんな先週の中学2年生の授業。
1年後に自信を持って高校入試を迎えるために、今やっておくべきことについて話をしました。
私が話したのは、「学習の習慣化」についてです。勉強に限らず、何かを習慣化するためには、私は5つの重要ポイントがあると考えています。私自身、何かを習慣化しようとした時は、このポイントをおさえて取り組むようにしており、その効果を実感しています。
以下が、その5つのポイントです。
【習慣化の5つの重要ポイント】
①目的の明確化
②数値目標と期限を決める
③コミットメント(宣言)
④最初は行動のハードルを極限まで下げる
⑤実践を毎日報告(記録)する
①目的の明確化
これは、なぜそれを習慣化するのかという目的を明確にするということです。勉強を習慣化するのは、自分の未来のために進みたい進路に進むだけの能力を身につけるためです。当たり前のようですが、そこを明確にしていないと、つらくなった時に踏ん張りがきかなくなります。そして、この目的はポジティブな表現の方がより効果的です。「ダイエットをしないと太っていてカッコ悪いから」というネガティブな表現よりは、「スマートになってお洒落な洋服を着たいから」の方がいいのです。なぜなら、前者は「ダイエットをしなければならない」という義務の意識が強く、後者は「ダイエットをしたい」という願望の意識が強いからです。人間は、しなければならないことは続きませんが、したいことは続くのです。
②数値目標と期限
これは「いつまでに、何を、どれくらい」という目標を設定するということです。ここで重要なのは、具体的な数値や期限を設定することです。これはあらゆる目標設定の鉄則でもあります。目標を数値で決めておかないと達成度を評価することができませんし、また、期限が決まっていないと、やるべきことを先延ばしにしてしまいがちです。
③コミットメント(宣言)
意外とやらないのがこのコミットメント。これは文字通り、誰かに自分の目標を宣言するということです。友達や家族に「私、毎日1時間勉強することにしたから。」と言い切ってしまうのです。そうすることで、やらざるを得ない状況を作ってしまうということです。なぜこれをやる人が少ないかというと、もし上手くいかなかった時に恥ずかしい思いをするからです。しかし、そう考えてしまっている時点で、行動の習慣化や目標の達成はほぼ不可能です。「できるか、できないか」で考えているうちはできないのです。「やる」と決めて周囲に宣言してしまった方が、成功の確率は圧倒的に上がります。
④最初は行動のハードルを極限まで下げる
さて、この④は、実はあまり知られていない習慣術かもしれません。これは、最初の行動目標はできるだけ簡単なものにするということです。時間も労力もそれほど必要としないレベルまで下げることが重要です。例えば、筋トレを習慣化したいなら「腹筋5回」から、日記を習慣化したいなら「1行日記」から、というように「え、そんなに簡単だと意味なくない?」というレベルからスタートするのです。人間の脳には、「ホメオスタシス」という機能が備わっています。これは、何か普段やらない行動をしようとした時、またはした時に、「これはいつもと違う行動だから異常行動だ。命の危険に関わる。」と脳が認識し、いつも通りの行動様式に戻そうとする機能です。実はこれが三日坊主のメカニズムなのです。この機能を発動させないためには、ストレスを感じない超簡単レベルの行動からスタートし、脳をだましだまし負荷を上げていく必要があるのです。
⑤実践を毎日報告(記録)する
その日に決めていた行動を実践できたら、それを誰かに報告したり、何かに記録しておくことが大切です。これはモチベーションの維持や向上に効果的です。みなさんもダイエットトレーニングで有名なライザップはご存知かと思います。なぜライザップが結果を出せるのか、それは毎日の食事報告があるからです。報告があることを考えると、しっかり食事の糖質制限をしようと思えます。また、トレーナーから褒められたりアドバイスをもらうことでさらにモチベーションが上がるという効果もあります。そして、人間は連続記録を途切れさせたくないという心理が働くので、継続すればするほどやめたくなくなります。自分でやると決めた行動を何日連続で実行できているのか、常に見えるように記録しておくことが大切なのです。
以上の5つのポイントを踏まえ、中学2年のみなさんには、まず④を意識してもらうようにしました。ほとんどの生徒さんが、一週間の勉強量が0日~3日程度だったので、まずは机に向かうハードルを下げる必要があると判断したからです。
④について先述した内容を解説し、「毎日5分だけ勉強する」の3週間継続にチャレンジするように伝えました。勉強5分は、小学1年生でもできるレベルです。
「もしお父さんやお母さんに、『なんでそんなに短いの?もっとやりなさい。』と言われたら、塾の先生に5分でいいから毎日続けるように言われたと伝えてもらっていいからね。もちろん、最低5分なだけで、もっとやりたいと思ったら続けてオッケー。」
とも伝えました。お父さん、お母さんからしたら、5分なんて勉強にならないと思うかもしれません。しかし、そもそも勉強時間ゼロだった日が5分に増えるのですから、大きな進歩です。そして、それが毎日1時間を習慣化させるのに必要不可欠な一歩なのです。ぜひ、その進歩を認めてあげて、少し長い目で見ていただければと思います。
毎回の授業で他のポイントについても解説し、毎日の学習を確実に定着させていきたいと思います。